Egg freezing?

元OL、独身アラサー、社会人類学専攻大院生が卵子凍結保存を本気で考えるブログ

卵子凍結保存、見てきた。

先日、一時帰国中に、ある不妊治療大手の病院を見学させていただきました。

自分の研究に興味を持ってもらって、ぜひうちで良ければ見ていいよ、と言っていただけるのは嬉しいこと。

 

そこの病院は生まれてくる新生児の半分くらいが、何らかの妊娠補助を受けたお母さんから生まれているという。すでに感動。笑

学んだことをランダムに。ベタ打ちに。。

 

▶︎凍結保存卵子からの受精と受精済み凍結保存卵子

凍結保存した卵子を解凍して受精させて妊娠につながる確率はまだまだ低いけど、受精させた状態で凍結した卵子を解凍した場合の妊娠可能性はかなり高いこと

これは独身のひとには適用できないけど、何個か前の記事に書いているように、結婚していても子供を産むタイミングが合わない、とかいう夫婦だってたくさんいるわけです。

もしくは、年齢が30後半や40歳超えている場合、不妊治療で何年もかかって、その間の卵子力の低下がさらに不妊を加速してしまう。そんな場合に不妊治療をしつつ、凍結保存しておく、なんてことも。

受精卵の凍結保存はあまり知られていないと思うのだけど、こんなことも出来ます。

 

▶︎卵子の解凍方法

シャーレに4種類の液体があって、保管場所から出した卵子を一定時間ずつ、その液体につけて解凍していく。

なんか思ったよりめっちゃシンプルなんだな、と思った。

食材は一度凍ったものを解凍すると風味が落ちるのと同じように、卵子凍結保存においても解凍のプロセスが卵子を痛めてしまう最大の原因であると言われている。

が、ここの改善に関しては、濃度をどうするか、どのくらいの時間、どの液に漬けるのか、といった方法になるということ。

まあ今保存しても解凍が10年後なら、なんか改善されてそうだな、なんて思ったり。

 

▶︎卵子と凍結卵子と年齢

20代後半の卵子を凍結したのと、36歳くらいの卵子だったらどっちが妊娠率が高いのか、質問したら、きちんとしたデータはないが感覚的に36歳の卵子の気がする、と言われ、はて、それでは若い時に保存したとしても40歳超えるとかして、その年齢の卵子より凍結してたとしても若いときの卵子の方が確率が高い、という交差点を超えない限り凍結卵子が活躍することはないのかな、と思ってみたり。

 

▶︎いきなり体外受精

最近は夫婦なのに自然交渉なしでいきなり体外受精を申し込んでくるという夫婦が増えているという。草食系男子の極みなのかとも思うけど、ちょっと知識が不足してるのでコメントは出来ないが、とりあえずめっちゃびっくりした。色んな夫婦の形があるんですね。

 

▶︎卵子凍結平均年齢

30代後半とのこと。イギリスやアメリカの平均と同じで認識相違がなかったことを確認。ただ最近は若い女性も増えていて、それはお母さんが連れてきた、という感じらしい。娘が結婚できないかもしれないから、念のため保存させておきたい、といったような。

 

▶︎保存法

今は凍結した卵子を、タンクのようなものにいれて保存している。こんな感じ。

このタンクを各病院ごとに保存しているから、保存するのであれば、10年後もきちんと経営が安定している病院であり、かつ自然災害に強い(地震や津波)とか、色々ちゃんとした病院である必要があるのだけど、個人的には、各病院が保存していることによるリスクと管理コストを考えれば、日銀の金庫のように、中央集権(東京・大阪二箇所とか)をしたほうがいいのかな、と思っていた。ただ現在は治療前同意のなかに、移動させない、という項目が入っているから難しいということ。なので、お話を伺うことができた、卵子保存をした女性は、大阪1ヶ所、東京で2ヶ所、という手段を取っていらっしゃった当然毎クリニックで採取費用や保存費用がかかるので、多くの人がこれをするのは現実的にはかなり厳しいという印象。

 

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(画像元) The troubling truth about egg freezing: It's expensive, medically risky and only FIVE babies have been born in Britain as a result | Daily Mail Online

 

 

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写真)ヴェネチア 

 

 

 

 

 

 

最近の人は昔ほど早く結婚や妊娠したりしないよね、と、35歳までに産んだほうがいいよね、のジレンマ。

先月日本に一時帰国して卵子凍結保存の現場を見せていただくことができました。

保存や受精の現場を見たことそのものにも、私の研究を面白いと思ってくれて快く受け入れてくださった大先輩方、現場の医療従事者の方々にも感謝です。次の記事で書こうと思います。

 

さて、前回 (”子供が欲しい”かどうか、どうやったら気づけるのか。謎。 - Egg freezing? ) の続き。

 

子供が欲しいと思ったのじゃなくて、子供がいない状態がいやだ、とかいう話。

これについてもう少し詳しくみてみる。

 

前回の記事に登場してきたような、子供が欲しいと思い不妊治療をしている女性にとって、"being Childless(子供がいない)"であること自体は、決して新しい現象ではない。ということ。

今までの人生を常に"Childless"として生きてきたわけだし、20歳のときchildlessだったのと同じように、35歳でもchildlessなだけなのである。

時とともに何が変わったのか、というのは彼女たちが”childless”であるという事実ではない。”Childless”であることをどのように認識し、経験してきたか、というところなのである。

確かに、これらの女性は出産を遅らせることをなんとなく習慣かしてしまい、何か他のライフイベントのなかで、意識的に、そして真剣に、このままchildlessでいたいかどうか、考えされることがあるまで子供を産まないでいる、というのは一理あることである。

これは、特に発言からみるのがわかりやすいと思う。

一見、女性たち(KittyやKaren@前の記事)は、子供が欲しいという願望について話しているように聞こえる。

しかし発言を今一度読み直していると、明らかに彼女たちは、子供について話しているわけではないのである。”Childlessness”、つまり子供がいないことに対して話しているのである。

彼女たちは、自分たちは子供がいない、childlessであることを見直し、嫌だとおもったから、出産するという決定をしている。子供を持つ価値や母親になることの意味、ではなく、延期することの費用対効果を話している。

 

Epstein の言葉を借りると

the stronger a prevailing social norm the less the agent actually thinks about it or subjects it to any critical or calculating analysis. Thus, through the action of social norms we ‘learn to be thoughtless’ (Epstein 2001: 9).

世の中に普及している社会通念が強ければ強いほど、実際に考えることが少なくなるということ、”考えない、ということを学ぶ”のである。

 

 

晩婚化が進む社会においては、出産を遅らせることはかなり強い妊娠に関する通念である、しかし、35歳までに妊娠をする、というのもまた、とても強い通念なのである。

30代前半から半ばの女性たちはこの2つの強力な、でもそれでいて真逆の妊娠に関する考え方の、まさに交差点に置かれおり、妊娠に関して真剣について考えだすタイミングなのである。

これがまさに、上に述べたような、子供がいないことに対する認識と経験の変化であり、遅らせていることに対する価値の変化であり、子供を産みたい!という結論に女性を導いているのである。

 

まさに、と思う。

私の感覚値であるけど、日本の女性の場合はその2つの社会的通念の設定が30歳に近い気がする。

30歳までに結婚したい、やっぱり20代のうちに第一子は産んでおきたい。

 

一時帰国の間に何回聞いたか分からないし、何回自分でも言ったかわからない。笑

 

しかしここで考えるべきは、なぜその人が、自分がそういう発言をしているかということ。この論文から学ぶに、やはり多くの人が、”なんか周りに子供産んでるひと増えてきたし、そろそろなんかなあ、いつまでも独身ではいられないよね”、という。

子供が欲しくて、子供が欲しいと言っているわけではないことに自分で気づく。そして”なにも考えてない”ことに気づくのである。日本は 社会的通念(social norm)や、社会的圧力(social pressure/peer pressure)の強い国の一つである。個人主義より、集団主義、個性より調和。最近は変わってきているというのも事実だけど、まだまだ強いし、なにが問題って、いざなんか人生のことがよくわからなくなったら、それに従えばいいっていう 必殺 ”be thoughtless”が使えてしまうことだと思う。

 

仮に日本の場合、30歳あたりで2つの通念が交差する、つまり20代後半から30代前半が、子供を産むかどうかに対して真剣に考え始めるタイミングなのだとすると(感覚では、当たってる気がしてる)、その時期の女性に卵子凍結保存を提案することは、語弊はあるかもだけど、ターゲットとして適切なだと思うし、逆に社会通念の交差の値を35歳まで引き上げることができるのであれば、イギリス等の晩婚化の社会同様、"悩める女子"のタイミングが単純に5年後ろ倒しになるのだから、20代後半の大切な時期にキャリアとのバランスで悩むことは減るのかもしれない。

 

必殺、考えない。

なるようになる。とか、流れにまかせる。 とか言えば、なんかガツガツしてなくて、女子っぽくて聞こえがいいのかもしれないけど、一回しかない自分の人生流れに任せるとか、アホちゃう。って思うのです。

 

妊娠に関してなれば、最近は卵子の年齢(妊娠力)だって検査できるし、精子の元気さも検査できるし、少し行動すればできることはたくさんある。ガンになったらやばいから検査を受けましょうとなにも変わらないと思う。 

 

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(写真) Oxfordの卒業式

 

Berrington, A. (2004) Perpetual postponers? Women’s, men’s and couples’ fertility intentions and subsequent fertility behaviour. Working paper A04 09. Division of Social Statistics. Southampton Research Centre. Southampton: University of Southampton.

”子供が欲しい”かどうか、どうやったら気づけるのか。謎。

気がついたら随分と時間があいてしまった。

試験準備、試験、燃え尽き症の2ヶ月の大半憂鬱だったのだけど、大学受験に比べれば全然、科目も少ないし期間も短いし、そもそもどんなにコケても留年はないだろうと思うだけには勉強してたし、確かに何点以上欲しいという貪欲な自分の中でのプレッシャーはあるものの、そもそも死ぬこと以外は別にかすり傷だろう!!、みたいな。やはり17歳のメンタルと27歳のメンタルでは、肝の座り方が違うもんだと、自分の成長を感じた次第。この感じだと37歳には鋼のメンタル。

 

試験勉強も嫌いじゃなかったが、やはりやっとこれで修士論文、つまり卵子凍結保存や不妊のことに専念できると思うと嬉しい。うぇい!!

 

今回の論文は社会学のジャーナルから。

加齢による不妊により妊娠補助治療を受けている女性のインタビューの論文をピックアップ。長い上に個人的に結構学びがおおい論文なので何回にわけることになりそうだけど、とりあえずむっ┌|゚□゚;|┐!!とくることがたくさんあるのでケーススタディだけでも流し読みしていただけると嬉しい。

 

特に避妊ピルを飲んでいるあなたへ。あと、初産が30歳超えそうだけど2人は子供欲しいと思っているあなたへ。(私含む)

 

Sociology of Health & Illness Vol. 34 No. 3 2012 ISSN 0141–9889, pp. 429–443

Age-related infertility: a tale of two technologies Elizabeth Szewczuk

Department of Sociology, University of Essex, 2012

要約

生殖機能は今や医療介入の的として注目され扱われてきているがしかし、矛盾していることに、女性は今までになく不妊の苦痛に悩むリスクにさらされていると言える。22名の不妊女性とのインタビューを通し、この文献は妊娠の延期から人口妊娠までの生殖に関する経験を明らかにする。インタビューした全ての女性が避妊法及び体外受精の両者を行っていたにも関わらず、誰一人として「望んだ時に、望んだ妊娠」を叶えていない。

避妊ピルは、妊娠を遅らせる性的コストを取り除く一方で、妊娠におけるジレンマを解決するわけではなかった。むしろ、難しいプロセスの積み重ねである妊娠という経験を崩壊させているのではないか。妊娠するかどうかは”後回し”にされ、議論されることもなく、時に想像にも及ばないといったような、避妊ピルによる”妊娠コントロール”が出来る、というイリュージョンを抱かせているようにも見える。インタビューした女性たちは、妊娠を延期したことによる隠れたコスト、つまり不妊に悩んでいた。そして35歳というすで限界がある妊娠可能性が更にガタガタと落ち始めるタイミングで、医療に頼るかたちでの妊娠をを追い求めることになるのである。

 

この論文は妊娠の後回し及び加齢による不妊の歴史的背景や、不妊治療の成功率等のデータの分析、避妊ピルと不妊治療という2つのテクノロジーがどう関わってきているか書いているのだけど、

 

今回は"Postponing but not thinking about fertility (=遅らせているけど、妊娠のことは考えてない)"というセクションをピックする。

妊娠ってミステリーでそもそも、どうやってそもそも自分が子供が欲しいと思ってるかに気づくのかっていう文章を読んだ時に、確かに、と思うのである。むむむ。

 

いや〜、子供欲しいよね〜、といいつつ、今子供出来たら困るわけで、更に言えば、避妊をやめれば子供はできるとどこかで信じてるから、そういう意味ですでに私は要約に書いた通り、妊娠コントロールイリュージョンにかかっている気がしたのである。(てゆうか確実にこれ)

 

近代の状況は、過去から続く妊娠を遅らせるという社会的習慣の上に成り立っている一方で (イギリスの話です、イギリスは日本に比べて昔から出産年齢遅め)、延期する行為自体は避妊ピルによって大きく変えられていることがわかった、とSzewczukさんは言う。(またしてもお名前発音わからず無念。笑)

 

ケーススタディ☆

キティーは34歳、37歳のときに2人目のの子供が欲しいと思うようになり、いわゆる妊活を18ヶ月間したのち妊娠補助治療を始めた。インタビューをした時点で彼女は41歳で、すでにIVF治療に4回失敗していた。16,000ポンド(約250万円)以上かかっているのだという。避妊薬の使用について、キティーはこう言う、

32か33歳までピルを飲んでいたわ、でも特に何にも考えてなかった。効果あったし、自分にあってたから。(2007年3月)

彼女の答えは、避妊薬に対する典型的な回答である。効果があった、ということ以外、誰も避妊薬の使用に対する意味のある説明を出来なかった。

一般的に

あら、全然考えたこともなかったわ。単純にピルを飲んでいて、特に何も真剣に考えなかった。 (スーザン) 

とか

今まで考えることもなかったわ、本当に。ピルは自分にあってたし、問題なかった。つまり、望まない妊娠する心配をする必要がなかったから、そういう意味でピルに関する他の心配事なんか考えたこともなかった。(ハリエット)

とかそんな調子なのである。避妊ピルの使用は妊娠を遅らせるにおいて、何てことないことであり、妊娠の希望や意志も同様に何か深く考えるものではないということである。今回の研究では、多くの女性が、少なくとも2人の子供がいる家族を持ちたい、とずっと思っていると主張する一方で、妊娠の意志は、めったに、もしくは全く持って話されることがなかったことが明らかになった。

 ん〜、私たちはファミリープランみたいなものっていうのは持ってなかったし、特にその時話し合いもしなかった。こうゆうのって、なんか暗黙のものって感じじゃない。(ベス)

たくさん話したとは言えないわ。何というか、想定はしていたという感じかしら。ただ明確なプランがあったかと言われたら、、NOね。(ルース)

インタビューした女性たちは口を揃えて妊娠に関する話し合いは「後回し」だったと説明している。妊娠の意志は曖昧で未熟で、未だに暗黙のもの、当然のこととして仮定されているものであり滅多に議題としては上がらないようである。

 

避妊をしている間はこんなにも全てが曖昧なのに、一方で、不妊と人工補助妊娠の経験をした後には、長くて、詳細な物語を生み出してしまう。キティーの言葉が胸にささる。

私は別に子供を産みたがってたわけでもないし、母親らしいとかそういう感じでもなかった。あるポイントでー多分32か33歳のときかわかんないけどー全てを手に入れたのに、なんとなく幸せに感じなかったの。私は自分の人生に欲しいものは全部手に入れてた、仕事もあったし、彼と私は仲良しだった。私は先生としてL市で働いてて、彼がC市で仕事を始めたからその間のこの街に越してきて、、何で幸せじゃないのか分からなかった。幸せになる全ての理由を持っていたのに、幸せじゃなかったの。自分が妊娠していないことがわかった時、”あ、これが原因か、私子供欲しいんだ!”って思ったの。でも別にそれはベビーカー見ちゃうとか、子供欲しい願望がぐわっときた、みたいな感じできたわけではなくて。私は子供が欲しかったのに、自分でそれに気づかなかったの!おかしいわよね。

 

まずここでキティーがどうやって自分が子供が欲しいと気づいたと言っているか、を考える前に、彼女が何を言っていないか、と考えるのも重要であると思う。

 

出産の後回しはよく夫婦およびパートナーの関係が不安定であることとリンクしていると言われる(van de Kaa 2001, Sobotka 2004)。他の多くの文献でも、一番の理由は「パートナーがいないから」が挙げられている。でもキティーの遅めの妊娠の決断は、この研究の多くの女性同様、安定した関係性の元で発生しているのである。彼女は結婚8年目である。

遅めの出産は、妊娠に対する社会的もしくは経済的弊害、例えば性差別を避けたいというような願望(MacDonald 1997) や、ワークライフバランスを保ちたいという願望や”必要性”(Hakim 2003)に迫られている場合もある。もしくは子供を生むことによる経済リスクや不透明性を避けたい (何が起こるかわかんないから、産めないよ今は、という感じ)とかも大きく関係している。(Becker 1960, 1991, Easterlin 1985).

 

キティーの場合遅らせすぎた出産を”コントロールできない社会的/経済的事情のせい”にできるだけの状況ではあるが、彼女はそうはしていない。彼女はBerrintonの言うところの"Perpetual postponer" (永遠に遅らせる人)と言えるだろう。単純に、30歳を超えた遅めの初産が可能だったことによって自分が妊娠できると過大評価をし、結果として2人めの子供を授かることができなくなる、ということである。

 

少し前に30代女性向けの雑誌でも「第二子不妊」が取り上げられていた。30歳を超えた初産が可能であることは少し周りを見渡せばわかることである。本当は2人欲しかったのに、結局1人になってしまった、というのは、確かに子供をそもそも授かれなかった女性からしてみれば贅沢な話と言われるかもしれないが、単純に辛い不妊治療もしくは2人以降を諦めるという結果になるだけでなく、少子化の一つの理由でもあると思う。

 

もちろん”本当は欲しかった”がどのくらい”本当”なのか。

2人目できなくても、まあいいか、なのか。絶対嫌だああああ!なのか。

 

”本当は私パティシエになりたかったんだよね〜、なんで今OLしてるんだろう〜はぁ。”とかいう人がいると、それは本当に本気でなりたかったわけじゃないと思います、以上。って思ってしまうけど。

不妊治療とか子供を授かるとか妊娠するとか、他のことより、自分の本気度ではどうしようもないレベルが高くて、その時点になったらもうどうしようもなくなってしまうから。この論文のインタビューから見える一つのこととして、本気で欲しいかどうか、ということを、晩産になりそうな夫婦こそ、きちんと2人話し合う、という当然のことがもっと必要である。ということでした。(続く。。文化的側面、人類学的解釈等)

 

結婚してない私にはよくわかりませんけども、夫婦で妊娠のタイミングとか話すことはそんなに難しいことなんでしょうか?

 

とりあえず友人たちにこれを伝えようと思います。そして聞いてみようと思います。結婚と出産しない限り私はこの分野でまともな研究者になれない気がしてきて寂しいので婚活もしなければなりません。アーメン。

 

絶賛募集中。

 

 

 

 参考

Berrington, A. (2004) Perpetual postponers? Women’s, men’s and couples’ fertility intentions and subsequent fertility behaviour. Working paper A04 09. Division of Social Statistics. Southampton Research Centre. Southampton: University of Southampton.

 

緑の文字になっているところは私の尊敬する大先輩から私の脳内に叩き込まれているフレーズの一部です。

自己啓発本系ってなんか結局だから何、って感じで終わるのだけど、なんかエネルギーあふれすぎてる先輩のストレートなちょっと厳し目の、実用的な言葉たちが載っているので良かったら見てみてください。

杉山大輔 :運を動かせ

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不妊の理由は、旦那が一人っ子だから説!?

タタタタタタタタタタータッ!

ほんまでっか!?TV の挿入歌が聞こえてきそう。

 

先日オックスフォード大学で薬理学博士をやってる友人とご飯を食べていたときに教えてもらったこの話。

その時は酔っ払ってたから爆笑して終わったものの、冷静になったらやっぱり気になって3日くらいして友人に確認のメールするという。

わたしの記憶ではかなり衝撃的なのだけど、気のせいかね?と。笑

 

More brothers could mean faster sperm and better fertility - News releases - News - The University of Sheffield

これが2012年12月の記事であることからもわかるように、彼の分野の中では割と当然のことのように認識していたみたいで、驚く私に驚く。

 記事によると

Men with more brothers than sisters may have faster swimming sperm and are more likely to have increased fertility according to new research carried out by experts from the University of Sheffield.

女兄弟がいる男性より男兄弟が多い男性のほうが、精子が強く(はやく泳ぎ)、より妊娠率が高い可能性がある(シェフィールド大学の研究)

 

アメリカにあるブラウン大学と、イギリスのシェフィールド大学の共同研究によって、精子の泳ぐスピードと、その男性が何人兄弟がいるか、の相関関係を発見したのだという。アジア男性病学会( the Asian Journal of Andrology) のジャーナルに報告されている。

実際にどんな研究がされたかというとですね、不妊調査の一環として500人の被験者の精子を、高性能テクノロジーを使って正確にその泳ぐ速度を測り、何人兄弟もしくは姉妹が家族にいるかの関係性をみていったようです。シェフィールド大学、男性病学 シニアレクチャラーのDr. Allan Paceyによると

“The results are very surprising and could provide genetic insights into why some men are more fertile than others but at the moment have no clinical relevance to how we might manage and treat male infertility. It does, however, give food for thought about the importance of genetics for sperm motility and may open the way to more studies in this area.”

この結果は非常に興味深く、なぜある男性が他の男性より繁殖力が強いのか、ということについての遺伝子的考察になりうる。現時点では男性不妊をどう扱うかについての医学的妥当性がないが、精子の可動性に関する遺伝子的重要性を考えるにあたっての参考になり、今後この分野に貢献するであろう。

 と。

研究員もびっくりだったということだが、注意しなければいけないのは、これは決して兄弟の数が直接的に精子に影響があるわけではなく、あくまで相関関係が確認された、ということであり、今後、どのように精子の速度が違うのか、という研究における一つの洞察となりうる、ということです。

シェフィールドでの研究中にデータを集め、研究の舵をとったブラウン大学の博士研究員 Dr.Jim Mossmanによると 

“This is certainly not a smoking gun as a reason for infertility in men. However, it would be interesting to test whether the same relationships are observed in other human populations as well as in other species. Likewise, would we observe similar associations when looking at female fertility? If the relationship between sex-bias in the number of children and fertility is a more universal phenomenon, then we may expect female fertility to follow a similar pattern, albeit in the opposite direction.”

これは決して、男性の不妊原因の動かぬ証拠というものではない。しかし、同じような関連性が確認出来るかを、他の地域や人種で調べてみるのは面白いだろう。また同様に、もし女性の出産能力をみたときに同じような結果がでるのだろうか?もし、性差における子供の数と妊娠力の関連性がより普遍的なものだとしたら、類似したパターンが確認が想定できるだろう。

前向きでいらっしゃる。ちょっとまた時間あるときに彼は追いかけてみたいとおもいます。

シェフィールド大学、進化遺伝学(Evolutionary Genetics)のJon Slate教授によると、

“If our results can be replicated we think it provides some evidence that humans have experienced what evolutionary biologists like to call ‘sexual conflict’. The idea behind this is that genes that make males reproductively successful make females reproductively unsuccessful and vice versa.”

もしこの結果が検証されれば、これは進化生物学者が唱える”性的対立/セクシャルコンフリクト”が実際に起きているというひとつの証明になる。これは、男性を繁殖という意味で可能にしている遺伝子は、女性の生殖障害を引き起こしている、またその逆もしかり、という背景に基づいている。

 

ということでね。教授はちょっとなんや難しめでよくわかりませんけど、とりあえずこれはこの分野のひとたちのなかでも、WOW!みたいな感じだったんですね。

 

記事にも書かれているように、これはあくまで相関関係が見つかったというだけで、男兄弟の多い男性を選びましょうとか、子供できないのは彼が女家系だからだとかそういう話ではないんだけど。最近広まってきているけど不妊の原因の半分は男性にもあるということと、結構驚いたもんで、こんな情報も追加しておこうかと。

 

私は友人たちと、このネタで不妊に対する認識から、性教育から、親子の関係性から、とがっつり盛り上がったけど(その気持ち悪さが大学院生のいいところだと私は思ってる)、通常はもはや飲み会か合コンのネタくらいにしかならないかもしれない。いや、今こんな話を飲み会でしたらセクハラになるのかもしれないけど。友達が研究してて、と枕詞をつけていただければ、大丈夫なんじゃないかと思います。どうぞお使いください。好きな相手の兄弟の数が分かって、話が広がるかもしれません。それで十分です。

 

 

そんなこと考えてたらネットでこんなものが流れてきました。 テクノロジーの発展は目まぐるしいですな。

gunosy.com

 

自分の分野の勉強をしていても、なぬ!!という事はよくあるけど全然違う分野の人と話すのは本当に楽しい。自分の知識の足りなさにもはや感謝。

この前Oxfordいたらトムクルーズが撮影してた。

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”子供は重荷” アラフォーOxford MBA女性に学ぶこと

 

”子供は重荷だから。”

 

今オックスフォード大学のMBAをしてる元クラスメイト、

中国で金融機関でM&Aや投資を担当していたけど、もう少し勉強をしたいという気持ちで渡英してきた彼女はもうすぐ40歳。クラスメイトの発言に対してほぼ100%「I don't think so」で返し、がっつり反論をしてそれも鋭いとこ突いてくるし、成績もとってもいいのだけど大学時代はもっと点数よかった、と嘆いてみたりする。Van Cleef & Arpelsはそんなに高くない、という彼女の首元にはさらっと、きらきらアルハンブラが光り、買い物にいけば、まさに中国流爆買いをしてたのだけど、彼女が稼いでたお給料から見れば大したことないんだという。

 

基本的に視点が斜め上。私がうっかりOxford来なかったら一生出会わなかったんじゃないかと思うタイプ。

多分あっちも思ってただろう、なんだこのへっぽこは、と。今回はそんな彼女から学んだことを考えていきたい。

 <1年前>

"10年くらい付き合っている彼氏はいるけどまだ結婚はしていないのだって、めんどくさいから。別に子供産む気ないし

 なんと絵に描いたような。

""だって重荷やん。基本的に邪魔やん?" (別に関西弁ではない)

"仕事休まなきゃいけないし。"

 

結婚する前にやりたいことやりたい!みたいなテンションで留学にきた、まだ丸の内感が抜けなかった私にはインパクトが強すぎた。いや、でも初めて生で、ガチで、出川哲朗さん的にいうとリアルガチで、言ってる人に出会った感動さえあったかもしれない。

 

そんな彼女と先日お茶して今後のプランを聞いてみた。 

このコース終わったら結婚するわ、とりあえず子供欲しくなってきたし、キリがいいと思ったの。MBA終わってまた仕事戻るのに、途中で中断するのも嫌だし、

このタイミングでこのまま先産んじゃってから復帰しようかと。だからさー、今オンラインのPhDかCPA考えてるんだよね。だって秋に終わって結婚して、妊娠出産1歳までで3年くらいはあるわけでしょ?職種上、時短とか厳しいし、まあ3年もあれば暇つぶしがてらオンラインとかなら出来ると思う。

 (๑•﹏•)タフ。。。

やっぱり出産とか子供って基本的に"distracting"なものだから、うまくコントロールしないといけないの。

 

あ、やっぱりそうなんだ。あくまで「子供」を「どう組み込むか」を考えられるタイミングになった、ということなのか。色々勉強して理解出来る部分も出てきたけど、やっぱりインパクト大。

 

中国って日本に近い良妻賢母的なアイディアが残っているイメージがずっとあるんだけど、彼女はそうじゃないという。一人っ子政策(今後段階的に緩和されるという話だけど)という、日本とは違うルールがあるので、ライフプランの仕方を単純に比べるわけにはいかない。

ただ、彼女や、他の中国、台湾、韓国、などアジア圏の友人に聞いても、

確かに良妻賢母的なアイディアはわかるけど、ここ最近どんどん世の中が変わってきて、そんな甘い考え方では生き抜けない。仕事につけない。

と、みんな口を揃えて言う。

もはやアジア、とかで括るのも微妙なんだけど、それでも同じアジア人として、こっちに来てからどうも、どうしても私の感覚、日本でよく聞く考え方がぬるいんじゃないかな、って思ってしまう。平和なんだな。

 

まあでも、日本のこんなとこだめだ!的議論は好きじゃないから置いといて。なんかこうゆう系の話よくあるけど、そんなん言われても。って思うやん。思うやん?思うねん、わたしは。どうせエリートのいうことやろ、って思う。

 

てことで、戻ると。彼女が彼女になったプロセスを考えてみるわけです。人類学だもん。キリッ

なんで、、、なんで、そんな感じになったんだ?と。

まさか生まれたときからそう思ってたわけじゃないだろ!どうした!?と。

 

そしたら、シンプルに、

だって、仕事してたら、そうならない?

と言った。別に大学生までそんなつもりじゃなくても一生懸命に本気で仕事してたら、どんどんと責任も増えるし、お給料も増えるし、やりたいことがあって、頑張りたいと思うでしょう?ってことだった。理解あるパートナーもいて現状満足している、と。もちろん親は早く結婚しろ、的なプレッシャーはあったし、そういう人も周りにたくさんいるけど、親は親、友達はともだち、私はわたし。

 

一生懸命、本気で仕事してただろうか。自分の人生で何か本気でやりたいことが見つからないのを見限る30歳前後のタイミングくらいで、ちょうど結婚とか、子供とか産んで、何か人生を変える手段のように見ているんじゃないだろうか。

 

日本研究の文献の多くで、日本は仕事満足度が極めて低いと指摘されている。それは企業側が特に専門性を必要としない採用システムであったり、終身雇用だったり、年功序列だったり、就職活動のシステムだったり、大学教育の問題だったり、色々と問題はありまくるのだけど、個人的にはそんな中でも、やりたいこと見つけたり意志を持って進んでいる日本人もたくさんいるわけだから、究極のところ、

そもそも真面目に本気で、”自分の”人生考えてきたか?

結婚して、こうゆう生活が、とか、子供にはこんなことを、とか言う前に

”自分”の人生、ちゃんと考えているのか?

 

という問いに集約されるんじゃないかと思い始める今日この頃である。

ちょっと試験近くて修論にまで手が回らず卵子保存の論文読めてません。はやく試験終わって欲しい。

 

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イクメンっていうけど多分それ親として普通のことなんじゃないの?3894本の新聞記事分析からみる”理想の家族”。

育メンっていうけどさ、育児するのは親だから別に普通のことでしょ。

 

って意見最近よく(女性側から)聞くな〜と思ってたら、どうやってその言葉が日本社会に浸透していったか、”いくめん”という言葉をどう理解しているのか、というのについてマクロレベルとミクロレベルで書いてる論文に出くわした。

Kosuke Mizukoshi, Florian Kohlbacher & Christoph Schimkowsky (2015): Japan's ikumen discourse: macro and micro perspectives on modern fatherhood, Japan Forum,

超最近や〜。バリキャリのことを主に考えてはいるものの、こういう言葉からも家族像とか考えれるかもしれないという淡い期待。

 

社会的、包括的にみてみる件。

イクメンという言葉は2006年に登場、2010年に流行語トップ10に選ばれてどかーんと広まったわけですが、厚生労働大臣の長妻昭(ながつまあきら)さんが、大体的に広めたいっていったのが大きいみたいですね。知りませんでした。無知。

厚生労働省にとってはイクメンプロジェクトはワークライフバランスを考え直そう、とい意図があり、経済産業省としては、働く女性をサポートして危惧される労働力不足に備えようとか、内閣府にとってはジェンダーイクォリティ、そして少子化対策の一環というような色々とお国の気持ちが乗っかっているという。

 

こちらの論文の著者たちはオンラインデータベースで検索できる新聞を検索して出てきたイクメン(or育メン)が使われている記事 1903本(2008-2014年)と,家族サービスの記事1991本(1979-2014年)を分析したそうで。地道だったでしょうに。お疲れ様です、ありがとうございます。

 

家族サービス

1979-2014年にかけて、じわじわじわり。

1985年の男女雇用機会均等法、ないし1980年代の週休二日制度の導入とリンクしているという話らしい。

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そしてこちらが育メン

あっぱれ、突然の登場なのであります。これは前述のように、家族サービス同様、政治が絡んでいます(言い方悪めだけど)。最近はインターネットの力もとんでもないですから、それも影響していますけどね。

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もうちょっと個人レベルでみてみる件。

新聞だけでは飽き足らず、今度は2013年4月から7月にかけて東京で、もうすぐ出産を控えている夫婦13組にインタビューをしている。このインタビューってイメージする分には楽しいんだけど、実際は終わってからレコードしたの書き起こして、分析して等々、めっちゃめんどくさいと思いますわ。

 

結論としては、社会的に見て認知度は「もうみんな知ってるレベル」に到達してる一方で、実際個人レベルではよくわかってない。という感じ。

 

(1)育メンに対するネガティブなイメージ持ってるパターン

33歳、結婚6年目、共働き、奥様妊娠4ヶ月

私は男性が完全に子育てに参加して、奥さんをいつも助ける、なんてこと現実的だとは思わないし、実際にそんなことしている人なんでどのくらいいるんだろうか。言葉だけが先走っているように思う。”育メンはかっこいい”とか”育メンになりたい”とかは思わない。

 

(2)育メンの具体的な役割、定義がイマイチわかっていないパターン

28歳、結婚4年目、共働き、奥様は妊娠8ヶ月

積極的に子育てに関与したいと思っているけど、それを育メンと呼ぶのかどうかわからない。多分育休とるひとのこと?少なくとも自分はそういうイメージを持ってる。でも僕はそれはしない。家事や出来ることをしたいと思う。

(3)育メンかどうか、をラベル付けされることを考えるパターン

35歳、結婚5年目、共働き、奥様妊娠8ヶ月

育メンっていう言葉が好きじゃない。でも家族の面倒は見たいと思うよ。周りから育メンって見られるのはいいことな気がするから、そんな育メンになりたい。

 

(4)ラベル付けされることは気にしてなく、育メンを何か任命されてするようなものだと考えていないパターン

38歳、結婚3年目、自営業、奥様妊娠5ヶ月

育メンになりたいって普通のことなんじゃないですか? 

 

 と、まあだいぶ省いてますけど、いろんな反応があるのですね。いろんな反応があるのだけど、やっぱり社会的な、もやはブームみたいになってるこの言葉と実際にはかなり乖離がないでしょうか??というのがこの論文の主張。

さらに加えると、「"naturalness of such fathering practices"、"父親としてする当然のこと"、というのに育メンというラベルは不必要である」と思っていることが、インタビューした男性に共通して見られることだった。だからそういう意味では、冒頭に書いた育メンっていうけどさ、育児するのは親だから別に普通のことでしょ。”ってのは案外男性も思っていることなのかもしれませんね〜。ただ、これに関しては出産直前のもうすぐ父親になる男性にインタビューしてるから、前向き度が高めだと思う。

 

まあ、育メンだとかなんだとか言う前に親として当たり前だろ!とかいう批判的なことはよく聞くのだけど、個人的には、長らく続いてきた”家族サービス”という枠を男性も抜け出しているところがここ最近の大きな変化だと思う。堂々と家族サービス、なんかいうと、なんか”してやってる感”みたいなのでるから、ごってごての昭和の男性たちも言いにくくなってるんじゃないだろうか。これはまさにフーコーがいう"discourse theory"。権力が知識を生み出し、知識が言葉となり、人はそれに行動や思考をコントロールされるみたいな話。政治と絡んでいます、と最初に言ったけどまさに。(となると、卵子凍結保存する女性や超バリバリキャリアウーマンも同じようにトップダウンでいくほうが、受け入れられる範囲は大きいのかもしれません。権力様様、メディア様様。)

 

働きながら子育てしている女性たちが色々言いたい気持ちはわかるのだけど、未だに寿退社うらやましー!とか、やっぱ養って欲しいよね、とか言ってる女子もウヨウヨ残ってるわけで、少なくともそんなこといいつつ、家事も手伝って欲しいし、育児も参加して欲しいなんぞいってる女子がいたらそれは反省もんです。それだとただの「理想の男性像だけ西洋かぶれマン」でっせ。

(参照:自分で勝手にバリキャリって思ってるだけなんじゃない? - Egg freezing?

 

時代が変わってきているから理想の男性像も、家族の形も変わってきているのは確かだけど、たった5年でこんなに育メンとかいう言葉がこんなに浸透して考え方も変わってきてるんだから、15年後の理想がまた全然違うなんてことは大いにあり得るわけで、個人的には理想とかいうのは自分で決めればいいし、今持ってる自分の理想が対して理想じゃないことなんてたくさんあるから、ある意味、今思っている理想のものを捨てる勇気って必要だと思うわけです。

 

社会に踊らされて男性が育休なんてとって、アムロちゃんの眉毛が一生流行ると思って超細眉にするのと一緒かもしれへん。結局あのとき、育休なんてとったかキャリアに支障きたした、なんてことは(もちろん企業に問題はあるけども)、眉毛生えてこなくなっちゃった、みたいな話と同じになるかもしれへんで。違うか。

 

 

今日もイギリスは暗いのでプーケットの写真みて元気出します。でわ。

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卵子凍結保存をした女性に15人にインタビューしてみました(終)

将来の家族とGenerational time? :卵子ドナーという選択肢

あるレベルにおいては、卵子保存はめちゃくちゃ合理的なライフマネジメントの戦略である。リスクマネジメントの枠組みに入れれると思う。しかしながら、そうゆう思考というのは、インタビューをした女性が表現したような苦しくて、辛い、深い部分にある道徳的なもの、実用的で効率的な出産に対する拒否感、を無視しているように思う。

女性にとっては、卵子を保存する本質的な価値は、遺伝子的なつながりに対する約束、と、女性の身の置き方(これをウォルドビーさんはGenerational timeと表現している)にあるという。

 

配偶子、卵子や精子というのは言ってしまえば単純に体の中にある細胞にすぎず、親のゲノムを子孫にコピーするといったようなもので、よく知られているように、生殖細胞系が世代を超えて繋がっていくのである。誰もこんな風には言わないけど、このロジックは卵子保存にこだわる女性には明らかである。

 

卵子ドナーから見るGenerational time

ウォルドビーさんによると、卵子ドナーという選択肢に対して一般的に女性がネガティブな反応をするという。

ジェニファーさん 40代前半の発言は印象的だ

Q:卵子ドナーを考えたことがある?

A:いえ、単純に意味が分からないわー、意味が見出せない。というのは、だったら養子を貰えばいい話じゃない。。。自分がこれからどうなるか分からないでしょ?笑 とっても順調に行ったときでも自分がどうなるか分からない。だから、Noね、ドナーはやらない。私は、子供をもっていないのーただデザイナーベビーを持つために子供を持つんじゃないってこと。自分の子供だから欲しいと思うの。

私が思うに、多くの女性は、、たぶん卵子ドナーより自分の卵子を選ぶと思うわ。。遺伝子っていうのは、パーソナリティや性格にとっても強く影響出るじゃない、、それって魅力的なことだわ。 だからこそ、私はドナーは選ばないの。

 

ジェニファーさんは、自分の将来の子供と遺伝子的な繋がりが欲しいから自分の卵子を使って妊娠したいと思っている。だから、”知らない女性”の遺伝子を使ってまで遺伝子をつなげていくことに意味を見出せないのだという。

 

家族観からみるGenerational time 

・縦のつながり

Generational timeに対する考え方というのは、インタビューした多くの女性が語る自身の幸せな幼少期や家族についてからも考えることができる。

ウォルドビーさんによると卵子保存を考えるとき、よく両親 ー特に母親ーがサポートをしており、クリニックに一緒にきたり治療をそばで過ごすという。 (。・Д・。)

5件が、家族が治療の一部ないし全面的な金銭的なサポートをしている。これらのケースにおいては、卵子凍結保存というのが "家族の継続、ないし世代から世代への受け継ぎができるもの”というふうに見られており、卵子凍結保存の技術というのは、ただ子供が欲しい女性だけでなく、その両親からも期待をされているのだ。

 

・横のつながり

加えて、卵子保存をする女性は、将来のパートナーとの遺伝子的繋がりも求めている。これは、多くの女性が精子ドナーに対して前向きに検討していないことからも明らかである。精子ドナーに関しては、女性自身はどうあれ自分の遺伝子をもった子供が持てるが、将来のパートナーとは関係がない。未婚のレズビアンのをみてみても、この遺伝子の横のつながりに対する願望は明らかであった。レズビアンカップルの場合、どちらか一方しか直接的な遺伝子のつながりを子供と持てない一方で、この研究に協力したクリニックの一つが、レズビアンカップルに対して、”一方の卵子をもう一方にドナーして妊娠を図る”、という選択肢を提供しているという。この選択肢は卵子凍結保存においても可能で、以前登場したフィービーさんもこの方法を考えているという。

レズビアンカップルにとって卵子凍結保存というテクノロジーは ”複雑なパターンのなかで繋がり、に対する新旧どっちもの価値観を合わせて考えて、自分たちが親になるほうほうを考える”ためのものなのである。

 

 

 

さて。どんな感じに見えるんでしょ。

私は縦の繋がりというのはちょっとかなり強烈因子な気もする。

この前、クラスメイトに誘われて、なぜかロンドンで日本の映画 「ふがいない僕は空を見た」ふがいない僕は空を見た - 作品 - Yahoo!映画 という映画を見たんだが、そのなかのシーンで、不妊治療に悩む女性に対して義理の母が ”なんで子供も産めないのよ!なんで子供が欲しいという、たったそれだけのことを叶えてくれないのよ!”と怒鳴りつけてるシーンガあった。”昔は3年子ナシは用無し、といったのよ。”といい、義理母は泣き、嫁もすいませんと泣いている。もうなんか、勝手に感情移入してフルフルしてたわけ。

 

今回の論文に書かれているのは "本人の親が協力" 、と書いてあったから、もしかしたら悩める娘を助けよう、というもう少し前向きな感情かもしれないが、旦那の親からも、自分の両親からも子供産めってプレッシャーがあったら、ほんまやってられへんわ。

 

我が友人は、後継のために男を産め、産めないならお前の意味はない、的なことを昔言われていて、もう、ほんとストレスだけでハゲれそう。ハゲそう。

 

はて。

写真はOxford大学のHarris Manchester Collegeで、教授たちがお茶とかするお部屋。私を担当してくださった社会学の先生とお茶したのだけどね、彼女はもうおばあちゃんなんだけど、脳内はキレッキレで(コメントは厳しめなんだけども)弱気な私に、"Aim High" と言って背中を押してくれるの。そんな女性をみて、かっこいいなあと思う今日この頃。

 

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