Egg freezing?

元OL、独身アラサー、社会人類学専攻大院生が卵子凍結保存を本気で考えるブログ

卵子凍結保存をした女性に15人にインタビューしてみました その2

つづき

 

卵巣予備脳テスト

卵子を保存するためには全ての女性が"Ovarian Reserve Test(ORT)"を受けなければならないの。日本語だと卵巣予備能検査、というみたい。

これは卵巣内の原子卵胞の数を調べるための検査。卵胞の数は年齢と共に急激に減っていき30代後半から加速するから、このテストの結果が”全体としてどのくらい妊娠の可能性があるのか?”という指針になるんだと。体外受精をしている女性はすでに何回も妊娠に失敗しているのに対し、卵子凍結保存をしようとしている女性は、このORTが妊娠可能性を考える最初の取り組みだったりする。彼女たちは一般的に、不妊治療に失敗したような直接的な経験はなく、ただ単純に”そろそろ曲がり角や〜〜”とデータやまわりの話から考えて、卵子保存しなきゃ、ってたどり着く。確かに友人と話していても、別にみんな不妊治療で悩んだ結果、というよりは、もう少し楽観的な、やばそうだよねぇ〜卵子保存しとこかな (๑•̀ㅂ•́)و✧キラッ笑?なんじゃないだろうか。

 

インタビューを見てみる。

 

メレディス 30代前半の場合

Q: 結果を待っている間不安だった?それとも全然問題なかった?

A: そうね、少し。だってこのテストって、将来を左右するとっても大きな要因じゃない?私自身でどうすることも出来ないことの一つだから。なんとかしなきゃいけない。うん、だから結果が出て、大丈夫だったとわかった時、本当によかったわ〜〜〜〜

フィービー 30代後半の場合

Q: 妊娠レベルがどのくらいかわかるテスト受けた?

A:  ええ、受けたわ。とっても低かった。だから”え!最悪!私年取りすぎてるやん、待ち過ぎたわ、まじか!”って感じだった。すでに1つ卵子は採取してるけど、だいたいみんな13,14個くらいって噂だったわ。

 

メディースの場合は、検査は彼女の将来の妊娠率を図るものであり、結果として彼女は希望を持てるいい理由になった。逆にフィービーにとっては、検査結果は、”もう妊娠可能性のカーブを降りすぎているよ!!”という事実を示しているのだが、どこか誤解を招いているようである。彼女は「なんとかしなければ!取り戻さなければ!」と思っているのである。

 

医療機関としては、ORTは、将来的な妊娠可能性の指針と、なんとも言えない不安や主観的な時間を無駄にしている、という気持ちを、もう少し合理的に客観的に示すことを目的としている。しかしながら、悲しいかな検査結果が悪いとそれは彼女たちのそんな不安を悪化させる。

 

(´・ω・`)なんか切ないけどわかる・・・

 

フィオナ(体外受精等を取り扱う医療従事者)によると

卵子を保存する女性は、自分たちは絶対に大丈夫だ、という風に考えがちです。だから卵子のクオリティーが低い、と知った人たちにとっては本当にショックなことで、、大丈夫私はやるわ、何も不安なことはないわ、って思っていていざ結果を知って色々考えることになったとき、”私いままで何してたんだろう?”ってなるのよ。

 

検査結果というのは、卵子保存をしたい女性にとって、単純に決心をつけるためのものではないわけです。

 

乙女心は複雑なんです!(`・ω・´)キリッ!

 

個人的で曖昧だった状態が、可視化された客観的な情報によって整理できるようになる一方で、解釈というのは将来に対する希望や今までに対する後悔のような複雑で根深い本人の気持ちによって解釈は歪められているのである。だから、検査自体には、検査後の彼女たちの行動を決めることは出来ないのである。2つの例で明らかなように、検査結果が悪くてもそれは必ずしも次に進むことをためらう要因にもなっていない。むしろ、急いで治療を進めたり残せる可能性のレバレッジをとるような理由になったりもすする

 

ウォルドビーさんが言うように 

意思決定というのは、自分の体と将来的な可能性をどう理解するかによって変わってくる。

わけで。

 

イギリスでも子宮頸がんと診断される女性の数がどんどん増えて1999年以降最多とニュースになっているし、誰しもなる可能性があるのに検査を受けてない女性が多すぎるというのは別にイギリスに限ったことではない。

Increase in number of British women being diagnosed with cervical cancer

 

”わたし何してたんだろ?”って思わないように、全力で勉強して、仕事頑張って、お金稼いで、いろんなもの犠牲してるかもしれないのに、子供が出来ないことはその全てをひっくり返えすだけの力を持っているところが怖い。

 

あんまり悲観的になるのもよくないけど、あんまり楽観的になってもいかんね。

 

調べてみたら検査の一つであるAMH(抗ミューラー菅ホルモン)という検査、通称卵巣年齢検査(というらしい)は保険適用外だけど割と簡単に安く受けれるみたいですな。

なんか最近真面目な感じですいませんな。

 

 

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University of OxfordのTrinity collegeのお庭。夏はみんなごろごろしてるけど、今ゴロゴロしたら凍死できる気がする。夏の日差しに思いを馳せるが今日もイギリスは暗い〜

卵子凍結保存をした女性に15人にインタビューしてみました その1

私じゃないですよ。

今回はこちら!

WALDBY, C. 2014. ‘Banking time’: egg freezing and the negotiation of future fertility. Culture, Health & Sexuality, 17, 470-482.

 

著者はWaldby Catherineさん、The Australian National Universityのディレクター。今度こそ名前の読み方わからへんやつやで。ウォルドビー?

 

日本の雑誌とかでも卵子凍結保存した女性のインタビュー少しは載ってるみたいやけど、こうゆう論文をみるとメディア用に加工されてない(はず)から、ええんちゃうかな、と思ってみたわけ。先生に、私も病院とか行ってインタビューしたいーって言ったら、今コンプライアンスとか個人情報とかまじ厳しいし手続き超大変だからやるなら博士いってじっくりやったほうがいいと言われましたわ。おっしゃる通りやわ。

ウォルドビーさんいわく2014年の時点で実際に保存した女性を直接研究したものは2個しか出版されていないって。。なぬぅぅ( ˘•ω•˘ ).。oஇ

 

そのうちのひとつがアメリカで2005-2011年の間に卵子凍結保存をした女性183人に匿名でのアンケートをしたもので、20%の女性が、融通の利かない仕事との兼ね合いをなんとかするために卵子を保存したっってこたえてる。少ないのか?多いのか?

 

ただ、もっと、どうして保存しようとおもったかっていう意思決定のプロセスをみたくないですか?ってことで彼女は卵子凍結保存をした女性にインタビューをしたわけです。

 

対象

・26-45歳の15人のキャリアウーマン in ロンドン

・80%が36歳以上、3人だけ35歳以下

・学歴もばっちり 学士卒60%, 修士以上40%

・仕事もばっちり 金融機関、警官、コンサルタント、企業オーナー、弁護士等等

・4人は長期間付き合ってるパートナー有り、2人は最近できた、残りの9人はシングル

・1人だけレズビアン、残りは異性愛者

・1人だけアジア系、残りはヨーロッパ系

 

1.超合理的系パターン

卵子保存の一つの魅力は、生理的なタイムラインと他の、例えばキャリアのような他の時間軸の差を差を一致させれるところにあるという。"Banking Time"と言われるように、どうしようも出来ない人生の流れから、妊娠を切り離して、いいタイミングで再配置する、といった考え方が見て取れるのである。

 

20代後半 警官ミッシェルさんの場合

いや、確かにちょっと変な感じなんだけど、””あ、私の一部を凍結保存したんだな”って感じ。そうね、それをキープするために毎年保管料を払うわけ(笑)。別に毎日することでもないし、なんか精神的に”あ、私バックアッププランあるんだな”って思うの。選択肢があるってある意味とっても精神的にいいことじゃない?

自分で訳しといて何だけど、英語の会話調のものを和訳するとなんでか、全部フルハウスみたいなテンションになるのね。すいません。

40代前半 企業、ディレクター ジェニファーさんの場合

私思うに、問題は女性が子供が産めるタイムリミットに気づいていないし、定期的にチェックもしてないところにあると思うわ、でも多分これは全員に当てはまることではないけど、、でももし出産を遅らせることを考えているのであれば、絶対にチェックすべきだと思うわ。

なんか、サクッとさらっとしてる感じで、まあこんな感じならちょっと気楽でいいなと思うんだけど、みんながそんな訳ではもちろんない。

 

2.これは未来への投資だ、のパターン

女性たちはちゃんと安定した家庭を、安心できるパートナーとつくりあげれた後に子供が欲しいと思っているけど、安定した男女関係を保つ難しさと、家賃や育児にかかるお金の高さが、邪魔になっているという。

 多くの場合が20代から30代前半にかけての長かった恋愛が結婚とい破局してしまい

(๑°⌓°๑) Noooooooooooo! ただただ子供が欲しくて安定した家族を作ろうという気のある相手を見つけなければ、という状態だという。

 

そこのあなた、油断できませんぞ(。・ˇ_ˇ・。)

 

何人かの女性は、将来のパートナーとの関係におけるプレッシャーを取り除くために卵子を保存したというのである。なんかもはや東京たられば娘5巻で卵子凍結保存でてきてもおかしくない。

 

30代後半 金融ウーマン ルイーズさんの場合

5年も6年もシングルでね、、なんかいつも時間無駄にしてると思う。でも私は落ち着かなきゃいけない、子供産まなきゃいけない、っていうプレッシャー感じたくない。大人になってからは全てが早すぎるのに、誰かを知るっていうのは、時間のかかることだって気付いたの。10代や20代の頃は一緒に働いたり過ごしたり、時間をかけて相手をいろんな側面から見ることが出来たじゃない。でも30代は違うの。ただのインターネットデートみたいなもん、ディナーデートばかりでしょ。常に1対1。そのうえ展開も早い。どんな人か判断するのがすごい得意じゃないとダメなわけ。"あ、もしこのまま何もしなければ、きっとどこかのタイミングで誰かと結婚して子供作って、って出会って2年もしないうちにやるんだな”って、すごいプレッシャー感じる。

 

もうなんかこの感じ耳タコなんだけどもね。こんな気持ちは異性愛者の女性だけではない。

 

 30代後半 エンジニア フィービーの場合(同性愛者、パートナーはいるがまだ日が浅い)

Q: 卵子保存のことについてパートナーと話しましたか?

A:ううん、こうゆうことを話すには早すぎると思った。もしかしたら来月には別れてるかもしれないとも思ったし。相手のことを本当に本当によーく知らない限り、物事って本当にすぐ変わっていくって思っているから、卵子凍結保存については彼女には話してないし、考えていることさえ話さないと思う。

 

どちらの場合も卵子凍結保存というのを、パートナーを見つけ、安定した家庭を探している合間にも”私は時間を無駄にしていないんだ”って思うための手段だとウォルドビーさんは言う。卵子保存に投資するすることは、過去や将来を、時間の無駄ではなく、意味のある、価値のあるものにするためのあがないの力があると、読み取っている。確実にわたしの未来まきこんで、卵子保存が走り出した〜♫みたいな感じちゃう。ちゃう?

 

はて、ちょっと長くなってしまたから2つにわけようかね。つづく。

 

写真はもはや卵子にしかみえてこない、ロンドンのSketchというホテルのおトイレです。

 

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企業が卵子凍結保存に対して補助金を出すことについて

FacebookやAppleが卵子保存に補助金を出すっていうニュースは結構衝撃的だったのを覚えている。ガン治療を受ける女性社員からの話がきっかけだったというから正確には医療用以外の卵子凍結保存を勧めるために打ち出したものではなかったのだけども。それにしても動き早いよFacebook、さすがだ。

time.com

 

ということで?今回は、生殖学系のジャーナルから一つ、関連している論文をピックアップして書いてみる。

 

今回の論文はこちら!じゃん!ゾールさん?ゾールでいいのかな?笑 

私の友達がUberウーバーをウベールって読んでたの思い出す。じわじわくる。

 Miriam Zoll - About Miriam Zoll

Zoll, M., et al. (2015). "Corporate giants provide fertility benefits: have they got it wrong?" European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biology 195

 

 

FacebookやAppleだけでなくIntelも卵子凍結保存を含む生殖に関するテクノロジーに関するサポートをすると発表したという。Intel入ってる?しかイメージないけど。

出産を遅らせたい女性にとってはこれは良いニュースとなっている一方で、卵子凍結保存の安全性や効果についての医学的根拠や十分な考慮がされていないのではなかという懸念が挙げられている。実際に、IFVや卵子保存のリスクや失敗率などに関するたくさんの誤解が世の中にあることを鑑みると、企業のこのようなサポート表明がもしかしたら妊娠、出産サポートするどころか危険にさらしてしまう可能性がある、ということであり、企業や専門家たちは早急な判定と、もっとだいだい的なメディアや公的な情報共有と教育が必要だと、ゾールさんは唱えている。

 

そもそも企業による卵子凍結保存サポートは American Society for Reproductive Technology (ASRM)が2012年後半に卵子凍結保存を”Experimental(実験用)”に引き上げたことから始まっている。これは4件のランダムに選んだものも含む981件の研究結果の検証の結果に基づいており、妥当な安全性を示したデータは32件、適切なメリットに関するデータが80件だったという。

 

安全性について

現在のところ生殖補助医療を通して生まれた赤ちゃんたちや、ホルモン注入をした女性などの健康に関わる長期的研究はほとんど行われていない。

  • 凍結保護物質が細胞の発達に与える有害な影響の可能性について
  • Virtification法(高速冷凍)による安全性や効果について

などについて、現在議論が行なわれている。

 

現在のデータから

  • Virtification法のほうがSlow freezging法より解凍、および妊娠率が高いこと
  • IVFやICSIによる出産では、低体重、早産、新生児死、先天性欠損症、自閉症や精神障害が2〜5倍であるということ

 

卵子凍結保存の可能性について

The Society for Assisted Reproductive Technology (SART)という機関の推測によると、38歳以下の女性だったとしても、1つの凍結卵子から出産に至る可能性はたったの2-12%であり、年齢が上がれば上がるほど可能性が下がっていくということである。38歳以上で凍結保存された卵子から生まれた子供は世界中で10人以下だと言われている。(2011年時点)

 

さて。

超超超矛盾である、とゾールさんは言う。

もし企業が卵子凍結保存補助を始めると、保存する女性の平均年齢は下がり、統計的には成功率があがることになるであろう。しかし、若くして保存をする女性の多くは、生殖能力が今後当分失われないのだから解凍する必要がないまま終わる可能性のほうが高いかもしれない。と。

 

まず第一に女性も男性も企業も、知っておくべきことは

もし!卵子を保存したとしても

もし!体外受精ができる、という選択肢があったとしても

出産を遅らせることは”常に”子供を産む確率を下げていること!である。

この点においてthe ARSMが”卵子凍結保存医療用にのみ使われるべきであり、出産を遅らせるために必要とされるべきではない”というのは正しい。

 

しかしそれにもかかわらず、企業やクリニックや医者までもが卵子保存を勧めているのか。企業がサポート制度を導入した場合に、女性社員が卵子を保存してまでキャリアを追求するプレッシャーをかけられるのではないか?(これに関しては以前すこし触れたが30歳のジレンマと卵子凍結保存 - Egg freezing?とか、誇張された卵子保存の効果を信じて、自分は加齢不妊とは無縁だああああ!と安心してしまうのではないか?という批判は絶えない。

 

いずれにせよ、生殖寿命に関する十分な情報や理解なしに出産を遅らせることは、出産に伴うリスクを高めているだけでしかない。こういう意味では卵子凍結保存は、相反する”キャリア”と”家族”のバランスという社会問題を解決するための策というよりは、単純に”遅らせている”だけでしかない。

 

”危険”で”実験的”な卵子保存をつりさげて女性従業員のモチベーションをあげるよりは企業はきっともっといい職場制度ー女性も男性ももっとも安全な道で出産ができて、なおかつキャリアの保証をするーことが必要なのではないだろうか、とゾールさんは言っているのである。

 

例えば最近オランダで発表されたジャーナルによると、母子ともに安全かつ健康な出産のために、早めの出産が推奨されるべきだ!ということである。3人子供が欲しい場合は23歳から、2人であれば27歳で子供を産みはじめましょう!っていう分析であった。ああ、わたし2人子供欲しいんですけど。27ってもう。。。 ガ━━Σ(o゚Д゚op)p━━ン!!

 

 とはいってもこれをなかなか人生プランに組み込めない。そう。そうなの。ということでゾーンさんは、有給の産休育休(男性・女性ともに)、安くて安心なデイケア施設を企業内に導入すること、フレキシブルな働き方などが提案している。

 

正直そんなこと言われなくても企業サイドもわかっていると思うし、私個人としてはFacebookやAppleやIntelのポリシーを頭ごなしに批判する必要はないと思う。まずこれを制度に取り入れれるところが、金銭的にもスピード的にもすごいし。

 

ただ、一つだけ念頭に置いとくべきことは、

出産を遅らせるための卵子保存はリスクを高めることでしかないこと

と、そして企業が考える第一は

従業員と、その家族の健康を守ること”

 

なんじゃないかなって私も思う。2点目においてはFacebookの女性従業員の方のようにガン治療で卵子凍結保存しなければ妊娠を諦めなければいけないひとにとって卵子保存補助金は、まさに従業員を守る、の理にかなっているし。

 

どう思いますか?

 

外資系企業の一部では、子育てでキャリアを中断した女性を呼び戻そうという活動も最近は盛んになっているから企業の認識も変わってきているし、生殖寿命に関する十分な情報や理解が必要!というが、これに関しても日本の性教育問題が大きく関わっているので(間違いなく性の国 オランダとは状況が違うし、、)これらにも今後ふれていきたい。 

 

去年親友と二人でオランダの飾り窓に突入したときの緊張感を思い出しましたわ。

あの国の性教育ってどうなってるんだろ。。

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よく聞かれる卵子凍結保存についての基本情報 その2

よく聞かれる卵子凍結保存についての基本情報 その1 - Egg freezing? の続きです!

 

・もし保存した卵子を使いたくなったらどうするの?

治療の選択肢としてIVF(体外受精)、IVM(未成熟卵の対外成熟培養), もし最適な条件の精子がない場合はICSI(顕微授精)などが考えられます

 

・凍結した卵子を使って子供を授かる確率はどのくらいなの?

凍結した卵子を使って不妊治療を行うのは比較的新しい技術です。

卵子ドナーによる不妊治療を通して生まれた赤ちゃんはたくさんいますが、2012年12月の時点で、凍結した卵子を使用した不妊治療の結果生まれた赤ちゃんはイギリスでたった20人です。クリニックによって差がありますが、一般的に成功率は高くはありません。しかしながら、新たな凍結法であるvitrification法(ガラス化・瞬間冷凍)の導入によって、凍結ー解凍のプロセスの成功率は最近飛躍的に上昇しており、結果として不妊治療の成功率も上がっています。2012年12月現在までの記録によると18,000個の卵子がイギリスでは将来的な個人使用のために保存されています。約580個が保存されている卵子から胚芽を既成しています。その胚芽はが女性に移行され約20つの命につながりました。これらのデータにおける卵子はSlow freeizng法、Vitrification法どちらの方法も含まれます。

 

・卵子を保存するリスクは?

通常の不妊治療同様に、不妊治療用のドラッグ使用によるリスクが含まれます。卵子凍結保存は比較的新しい技術であり、全ての卵子が凍結、解凍のプロセスに成功したり、妊娠につながるわけではありません。将来のために卵子を保存するかどうか決める際は必ず卵子保存のプロセスにおけるリスクや、成功率について考慮する必要があります。クリニックはその説明義務があります。

 

・がん治療をうける女の子や女性にはどんな選択肢がありますか?

ガン治療をこれから受ける女性は将来のために卵子を保存することが可能な場合があります。

卵子凍結保存が可能ではない場合には、卵巣組織の冷凍が選択肢としてあげられます。これは卵子全体もしくは卵子を含む一部の細胞を採取し凍結保存を含みます。卵巣組織凍結は治療用としてまだかなり初期段階ではありますが、妊娠可能性をとっておくことを希望する女性にとってはガン治療を受ける前に考えてもいい選択肢だと思われます。

年齢が若く、十分に成熟した卵子を採取し凍結保存ができない女の子にも向いているかもしれません。また、ガン治療前に、卵子採取をする十分な時間がない方にも可能かもしれません。ガン治療終了後に、卵巣もしくは細胞が移植され、将来的な自然妊娠のための回復が図られます。世界的にも、凍結した卵巣細胞の移植を通して生まれた赤ちゃんは世界的にみてもかなり少なく(20人以下)、卵巣全体の凍結、移植をとおしての出産記録は現在ありません。The HFEA認可のクリニックにおいては卵巣細胞凍結保存が可能ですが、現在イギリスにおいてそれが可能なクリニックはかなり少ないです。The HEFAはイギリスのHuman Fertilisation and Embryology Authority (the HFEA)という、イギリスの不妊治療や研究のライセンスの管理等をしている機関です。

 

卵子凍結保存の先進国であるイギリスで現在20人の赤ちゃんが、凍結した卵子を使ってた不妊治療で生まれているというのは、確かに少ない数ではあるけど、日本ではまだ保存している人もほとんどいないのに、もう保存していてそれを使って産む段階にいるひとたちがいるというのは、かなり違いがあると思う。だからイギリスの現状から学ぶことはきっと役に立つと思うんだ:)

 

結婚と出産を強く結びつけた結果の不妊治療と、その結果としてのスーパーママ。

凍結した卵子を解凍して体外受精をして妊娠、出産したら、なんか普通の親と違う気持ちになりそう。

 

これが卵子凍結保存をしたくない女性からのひとつの意見。

どうなるか分からないから、怖い、と。

なんかわかる。ただでさえコウノドリ(ドラマ)みて、出産は奇跡やあ〜、とか思ってるから普通に考えて、何かしらの”テクノロジー”に頼るのは怖い。

 

残念ながら、実際に解凍して出産まで至った方は世界にまだ数えるほどだとされているので、直接的なリサーチに基づいた回答ができないがIVF(体外受精)の例を少しみてみる。

 

イランの研究チームが体外受精をして出産した女性への調査をみると、”Super-mothers”という言葉が使われていた。

the researchers labelled "super-mothering" - the way that the experience of motherhood was intensified as a consequence of having lived through the difficulties of conceiving. 

妊娠までの道のりが困難だったが故に、結果として母としての気持ちがかなり強化されており、スーパーママさんになっている、という報告。

 

とにかく何か問題がないか、今後の将来大丈夫か、という不安にものすごく駆られているとのことである。そりゃそうだと思う。もちろんリスクもあるわけだし、健康に生まれてきてくれたらくれたで、”こんなに苦労したんだから”の感情が強まることは特にセオリーなど考えなくてもわかる。

 

Mohammadi and her colleagues explain how in Iranian culture there is a huge pressure on married women to have children  

私が気になった点はこっちだ。

”イランは文化的に、結婚している女性は子供をもつ、という強いプレッシャーがある”

これがIVFを”してまで”産むことになるらしい。

 

日本と似ていないだろうか?

 

親族構成に関する本を読んでいると

家父長制度が強く残っている文化がある国は基本的に結婚と出産が密に結びついている、とよく言われている。日本ももちろん家父長生ベースで、”家父長制=父、大黒柱、偉い⇨母、子育て、家事”。確かに友人の声をよくよく振り返ってみると、

 

 

「いやー、今結婚しても、いま子供産めないし」

 

「今結婚してもすぐ遠距離になるのわかってるから」

 

これは結婚=子供がリンクしていること、結婚したらそれなりのタイミングを産みたい、もしくは産むものだと思っていること、が無意識的な前提になっており、この前提があるからこそ、晩婚化、ひいては晩産化が進んでいる一つの原因である。

 

晩婚化に巻き込まれていなさそうなキャリアウーマンたちの言葉は

 

”んー。子供はすぐには産めないけど、この人と一緒にいたいからタイミング的にここで結婚だけしようと思っている”

 

”だけ”?

だけ?結婚は出産とセット売りなのか?

 

無意識にこう言っていることを考えると、本当に日本文化の根強さを感じる。。

恐るべし無意識。

 

イラン同様、子供を持つことに対するプレッシャーは日本でも大きな要素であり、不妊治療者の罪悪感を引き起こしているという。そして不妊治療の先にはsuper motheringになっている女性と同じような色んなプレッシャーと戦わなければいけないかもしれない。

 

おのおの事情はあるし、一概には言えない議題ではあるけど、私の最近の観察所感としては無意識に、”文化”とか”常識”か”なんとなく”に縛られているような発言をしている女性も多いように見える。

 

無意識のものを意識に引きずり出すことで、当然だと思われていること、思っていることをもう一度見直すことで新しい捉えかたをする

(Fox, R. G. 1991. Recapturing Anthropology: Working in the Present, Sante Fe: School of American Research Press.)

 

これが人類学者が常に考えていることで、私の足りてない脳みそでは文献を読むたびに常にハッとする。

 

延々と女子会をして、”わかるわかるー” ”なんやかんや無理じゃない?” とかいうのも好きだけど、その慣れあいとピアプレッシャーの先が晩婚化、晩産化からの不妊治療になるのだとした末恐ろしい。

 

 

BPS Research Digest: How women become "super-mothers" after giving birth through IVF

Mohammadi, N., Shamshiri, M., Mohammadpour, A., Vehviläinen-Julkunen, K., Abbasi, M., & Sadeghi, T. (2014). ‘Super-mothers’: the meaning of mothering after assisted reproductive technology Journal of Reproductive and Infant Psychology, 33 (1), 42-53 DOI: 

Takie, Sugiyama, Lebra, Self in Japanese culture, Rosenberger Japanese sense of self

 

よく聞かれる卵子凍結保存についての基本情報 その1

色んなことを考えてたら基本のことをお伝えするのを忘れてた!!

基本イギリスの情報メインで、クリニックごとに特に値段等は変わるのでご参考までに。。。

 

1. 卵子凍結保存ってなに?

凍結した卵子を治療として使うのは比較的新しい技術で、実際に保存した卵子を解凍して出産までいたったケースはイギリスでもほんとにごくわずか。(ドナー卵子を使用したケースはもっと多い)でもガラス化製法という瞬間冷凍的な技術の発展によって、凍結ー解凍のプロセスの成功率がどんどん上がっているのであります

 

一度に卵子をたくさん採取するために、どんどん卵子を作れ〜!と誘発剤をうち卵巣を刺激して、その様子をチェックしながら十分なタイミングで採取されるというもの。これが鎮静剤ないし麻酔中の間に行われます。採取された卵子は液体窒素のなかに入れて保存されます

 

2.卵子保存は自分のためにやるの?

卵子凍結保存は将来的にご自身で使うことができるようにするためです。

例えば

  • がん治療中など、治療中などで治療条件がある場合
  • 加齢による妊娠率低下を心配しているものの今子供を産める状態ではない場合
  • 怪我や病気や死の危険性がある場合(例えば戦地に向かう陸軍のメンバーなど)なるほど。。w(゚o゚)w
  • 性転換手術を行うつもりの場合 Σ(゚□゚(゚□゚*)

下2つの項目が、イギリスのダイバーシティーを感じるo(´^`)o

 

3. 凍結したらどうなる?

卵子凍結保存までの手順は以下

  1. 卵子凍結同意の前に、リスクを含むプロセスの説明と、精神面やその他色んな心配事を専門医と相談
  2. HIVを含む感染症のチェック
  3. IFV(体外受精)と同等の方法で卵子が採取
  4. 保存した卵子を保護するための抗凍結剤の追加
  5. 瞬間冷凍、液体窒素に保存

卵子凍結保存って怖いっていうイメージだけど、プロセスは体外受精と同じ。。。(・m・ )

 

 4.どのくらい希望がいえるのか

同意書で指定できるものは

  1. 保存した卵子を自身の治療に使うことの同意
  2. 何年保存したいか(基本10年)
  3. もし死亡等で本人の意思がとれなくなった場合に卵子をどうするか
  4. 卵子を自分の治療だけに使うのか、ドナーの意思があるか、研究やトレーニングに使うことに同意するか

5.どのくらい保存できるか

 基本は10年、これ以上の保存は個人の状況と医師の判断による

また、保存できる年齢が40歳以下、使用できる上限年齢は45歳以下、等

国によってもクリニックによっても違いますが基本このくらいの年齢設定がされているので、永遠に出産を伸ばせるわけではない。

 

 

私は社会学、人類学の観点から、日本の管理職女性の少なさや労働率、女性のキャリア形成等について考えているなかで、卵子凍結保存に可能性を見出しているつもりだけど、やはり医学や法学の専門家たちの意見や、制度として導入することが考えて企業側の考え方も必要だなあ〜と。どんどんご紹介していきたいと思っております。。。つづく。

 

(参考)

www.hfea.gov.uk

今のキャリアプランだとC判定です。卵子保存を考えましょう?

少し前に、卵子凍結してまでキャリアを追求するような自己中な女性が増えてしまうのではないか、という懸念について考えてみた。

eggfreezing.hatenablog.com

 

今度は逆に、働く女性にとって卵子凍結がめっちゃかっこいい選択肢になるんじゃないか説、を考えてみる。

出産を遅らせるというのは、加齢による不妊への不安や、子供を授かれないリスクがつきものだから、将来のためのリスクマネジメントの一つとして若い時に卵子凍結をしておくことが賢明な判断になり得るのではないか、ということだ。

 

もしかしたら意思を持って、今じゃないって思っているひともいる。でも別に遅れさせたくて遅らせてるわけじゃないこともたくさんある。金銭的な問題や、仕事のタイミング、パートナーがいないなど、様々な理由で、少しずつ少しずつ、本人の意思とは反して遅れていく。本人が子供が欲しいという願望があったとしても、彼女をとりまく環境が子供を産むことを許してない可能性も大いにあるのだ。

 

例えば、結婚したとたん地方への異動がでたら?例えば、もしパートナーが彼女の産みたい時期に子供を産むことに賛成しなかったら?例えばパートナーがいきなり病気になってしまったら?

 

結婚していたとしても子供は産めない。未婚女性からしたら”そんなこと”に見えるかもしれない。でもそうではない。

 

当然のことながら、子供を授かるためには基本的には少なくとも異性(男性)が必要なわけだから、そもそも女性だけで扱い切れる問題ではなく、結果として加齢による不妊や望んでいないチャイルドレスが引き起こされることもあるのだ。

 

自分の人生だけでも全然うまくいかないのに、どうやったら人を巻き込んで予定通りに人生が進むんだ?

 

今、自分ではどうしようもないことが多すぎる。そんな状況下においては、卵子を保存しておく事はただただ状況がよくなることを待つよりは、将来の妊娠の可能性をあげておくという点において「賢い」選択なのかもしれない。

 

加えて、卵子凍結保存をしておけば、万が一不妊治療の結果、卵子ドナーしか頼る方法がなくなってしまった場合に、治療方法の選択肢として一つ増やすことができる。遺伝子のつながった子供が欲しい、というのが人間の本能としてあるからだ。この意味で、どんな理由にしろ自分の卵子を使えない状態になった女性にとっては、凍結した若い頃の自分の卵子はドナー提供いただくよりは優先したい治療選択肢となるし、自分で自分の将来への保険をかけるかたちにもなり得る。

 

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http://www.babycentre.co.uk/a6155/your-age-and-fertility

なんかこうゆうの見すぎて見慣れてきてるけどさ、冷静にみて35−39歳で妊娠率50%ですよ?

 

え、アラサー?独身?3年後くらいには結婚したい??

このままのキャリアプランですと、ん〜、、C判定ですね、合格率50%

 

高いと思うか、低いと思うか?

ん?自分で書いてみてなんだけど、私C判定??

 

((((((ノ゚⊿゚)ノヌオォォォ

 

 

受験なら夏の追い込みで確率が上がるけど、年齢的に追い込んだら確率下がる笑

 

だから思いがけない将来の不測の事態に備えて卵子保存、がスマートな選択肢として受け入れられてもいいと思う。別に一般的に広まってたくさんの女性が保存すればいい、とか、卵子を保存してキャリアを追求しましょう、なんて思っていない。ただそういう選択肢もあるんだね、と社会的に理解されたらいいな、と思う。

 

夏を制するものは受験を制す!

卵子を保存するものは、キャリアと家庭の両者を制す!みたいな。笑

 

新しいものが”社会的に理解され受け入れられる”までのプロセスとはどんなものか?人はどうやって新しい考え方を受け入れていっているのか?考えているなう。

 

 

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