Egg freezing?

元OL、独身アラサー、社会人類学専攻大院生が卵子凍結保存を本気で考えるブログ

30歳のジレンマと卵子凍結保存

本当に女性に優しい社会ってなんだろう。

産休・育休の取得率を軸に女性に優しい企業の指標が出来ていること自体が間違っているとは思わないし、多くの働き続けたい女性にとって役に立っているからそういう意味で優しいのだと思う。

 

でもそれが"女性の理想の働き方”として少し一般化しすぎている気がしている。絶対数は少ないかもしれないけれど、総合職やいわゆるバリキャリとされる女性たちの多くは、男性と同じようにキャリアを描けないことに対して悩んでいるのである。

 

理由の多くは、子供産めなくなりそうだから。

30までに第一子を産むのがいい、とか言われてるけど、どうすっころんでも30には間に合わない。キャリアと肉体的な年齢的なものが全然あってない。

 

総合商社勤務27歳。5年目で今年から念願の海外駐在勤務となるも、いつ帰ってくるかわからない。冷静に考えていつ結婚できるかもわからないけど、商社マンとしてこの仕事はやりとげたい。うじうじ言ってられない、とりあえず行ってきます!

 

弁護士1年目26歳。長くて厳しいロー生活、司法試験、司法修習を終えてもうすぐ弁護士デビュー。とりあえず最初の3−5年は集中したい。成績だって男子より良かったし、社会でも通用するか試したいの。

 

外資系金融機関勤務29歳。最近結婚したけど相手は海外駐在中。新婚から別居中。私もロンドンオフィスへの話が出てきているし、彼も今のプロジェクト落ち着くまで帰ってこないし、私が辞めて彼のところに行くのも今のところ考えていない。いずれは子供欲しいけどできるのかな、30歳どころか35も間に合うのか?謎。

 

メーカー勤務28歳。6年の勤務を経て退職、ステップアップのために海外留学を決意。この留学は自分にとって必要だし行きたいと思うけど、帰ってきたら30歳かでそのあとは仕事にも集中したい。でも子供欲しい、ああ、でもその前に結婚か。でも20台は自分のために使おう、せっかくここまで来たし。

 

今、”あれ、これ私?”って思ったあなた。

あなたです。

 

社会学者Catherine Hakimの Life-Preference theoryによると女性はCareer-Oriented とHome-Orientedとその間(The middle)の3種類にわけられていて、彼女たちはCareer Orientedであろう。Hakimによると、女性がワークライフバランスを決めるにおいては社会的変化よりもLife preferenceによるところの方が大きいという。例えば育休産休の導入によって直接的に出生数が増えたり初産の年齢が下がっているわけではないのも説明がつく。Home-Orientedが強い女性は育休産休を取れても、取らずに専業主婦になるし、育児しながらやっぱり仕事も続けたいなあ〜と模索している女性にはいい制度となるからである。

 

制度のような外的要因はサポートとしては成り立つけど、個人の優先順位を変えるほどではないということである。

と同時に、子供を産みたいという強い願望は他の何よりも優先されるということも様々な文献で指摘されている。(例:Balen)

つまり例にあるようなCareer-Orientedな女性たちも、Career-Orientedである前に女性であり、往々にして子供を産みたい葛藤と常に戦いつつ、どこで自分の変えがたい"Preference"であるキャリアを妥協するかを慮っているのであろう。

 

そういった女性にとっての”女性に優しい社会”ってなんなんだろう?

キャリアと出産可能年齢のバランスが合わないのが怖くて、もしかしたら海外駐在や留学を諦めようとしている、そんな女性にどんな選択肢があればいいのだろう?

 

そんなことを考えていたら卵子凍結保存が出てきて私の研究はそこに傾いてきたのでした。安心してください、血迷ってません。

 

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