卵子保存ってなによ。
私が卵子凍結保存のこと研究してるっていうと、案外多くの友人が興味を持ってくれる。何に驚いたかってFacebookに投稿したらコメントではなくてみんな個人的にメッセージをくれたこと。
私は研究テーマという名目のもと「卵子」を連呼し、”かおりといえば卵子だよね”、という文字通り受け取れば何か悪口っぽいニュアンスにさえなるキャッチフレーズをいただくまでになってしまっているが、ランチや女子会で大きな声でする話ではないか。
だからこそイギリスやアメリカに比べて情報が少ないしね、このブログが参考になれば嬉しい。
まずなぜ、卵子凍結保存なのか。
子供が欲しい女性にとっては定義上、継続して働ける限界がある。それは卵子の老化により妊娠率は35歳以降ぐっと下がってしまうから。これが意識的にか、無意識的にか女性のキャリア形成に影響しているのは、明らかなのである。
もちろん第一子は35までに産める可能性は高いけど第二子が35超える可能性全然ある。別にその時、まあ1人でいいかって思ったらそれでいいんだけど、将来の自分がどんな感情を持つかよくわからんし、そもそも人生がプラン通りにいかない。27歳のわたしはハタチの私の想定では大きいおうちで素敵な旦那様がいて、大きい犬飼ってレモンパイとか焼いてる系若奥様の予定だったのに今のところイギリスでリュック背負って自転車で登校するただのガリ勉大学院生だ。なぜだ!
卵子凍結保存は将来の妊娠可能性のために卵子を採取、凍結、保存することで、この一連の作業に通常4−6週間、利用する場合には解凍して体外受精と同様の方法で妊娠を図るというもの。
もともとは癌の治療の副作用で健康な卵子が出来なくなってしまうリスクがある患者さんのために使わていたけど、技術の進展により治療目的だけでなく個人の選択肢としての活用が徐々に注目を浴びてきた、という話。ちなみに英語では治療用と区別するために、Egg freezing for social/lifestyle reasons。
技術的に理論上は、卵子凍結保存は、若い時の健康な卵子を後で使うことができるから、妊娠可能期間を延ばすことができる!!なんということでしょう!!ということでイギリスやアメリカでは、働く女性からじわじわと注目をあびているわけだ。
例えばこれは少し前のBloomberg businessの表紙
いかつい。
かなり目を引くタイトルに意図的にされてる気がするけど
日本とはテンションが確実に違う。これ表紙て。
New Egg Freezing Technology Eases Women's Career-Family Angst - Businessweek
日本では2015年10月のVogueで卵子保存のテーマが少し扱われてたけど、これは2014年4月だからさすが早いですねパイオニアイギリス。
でももちろんこの治療に付随する、例えば薬による副作用や子宮外妊娠、高齢出産のリスクは考えないといけないし、保存する人は卵子凍結保存が妊娠を保証するものではないから過大評価しちゃいかんです。詳しくは今後。
でわ。
参考文献