Egg freezing?

元OL、独身アラサー、社会人類学専攻大院生が卵子凍結保存を本気で考えるブログ

卵子凍結保存をした女性に15人にインタビューしてみました(終)

将来の家族とGenerational time? :卵子ドナーという選択肢

あるレベルにおいては、卵子保存はめちゃくちゃ合理的なライフマネジメントの戦略である。リスクマネジメントの枠組みに入れれると思う。しかしながら、そうゆう思考というのは、インタビューをした女性が表現したような苦しくて、辛い、深い部分にある道徳的なもの、実用的で効率的な出産に対する拒否感、を無視しているように思う。

女性にとっては、卵子を保存する本質的な価値は、遺伝子的なつながりに対する約束、と、女性の身の置き方(これをウォルドビーさんはGenerational timeと表現している)にあるという。

 

配偶子、卵子や精子というのは言ってしまえば単純に体の中にある細胞にすぎず、親のゲノムを子孫にコピーするといったようなもので、よく知られているように、生殖細胞系が世代を超えて繋がっていくのである。誰もこんな風には言わないけど、このロジックは卵子保存にこだわる女性には明らかである。

 

卵子ドナーから見るGenerational time

ウォルドビーさんによると、卵子ドナーという選択肢に対して一般的に女性がネガティブな反応をするという。

ジェニファーさん 40代前半の発言は印象的だ

Q:卵子ドナーを考えたことがある?

A:いえ、単純に意味が分からないわー、意味が見出せない。というのは、だったら養子を貰えばいい話じゃない。。。自分がこれからどうなるか分からないでしょ?笑 とっても順調に行ったときでも自分がどうなるか分からない。だから、Noね、ドナーはやらない。私は、子供をもっていないのーただデザイナーベビーを持つために子供を持つんじゃないってこと。自分の子供だから欲しいと思うの。

私が思うに、多くの女性は、、たぶん卵子ドナーより自分の卵子を選ぶと思うわ。。遺伝子っていうのは、パーソナリティや性格にとっても強く影響出るじゃない、、それって魅力的なことだわ。 だからこそ、私はドナーは選ばないの。

 

ジェニファーさんは、自分の将来の子供と遺伝子的な繋がりが欲しいから自分の卵子を使って妊娠したいと思っている。だから、”知らない女性”の遺伝子を使ってまで遺伝子をつなげていくことに意味を見出せないのだという。

 

家族観からみるGenerational time 

・縦のつながり

Generational timeに対する考え方というのは、インタビューした多くの女性が語る自身の幸せな幼少期や家族についてからも考えることができる。

ウォルドビーさんによると卵子保存を考えるとき、よく両親 ー特に母親ーがサポートをしており、クリニックに一緒にきたり治療をそばで過ごすという。 (。・Д・。)

5件が、家族が治療の一部ないし全面的な金銭的なサポートをしている。これらのケースにおいては、卵子凍結保存というのが "家族の継続、ないし世代から世代への受け継ぎができるもの”というふうに見られており、卵子凍結保存の技術というのは、ただ子供が欲しい女性だけでなく、その両親からも期待をされているのだ。

 

・横のつながり

加えて、卵子保存をする女性は、将来のパートナーとの遺伝子的繋がりも求めている。これは、多くの女性が精子ドナーに対して前向きに検討していないことからも明らかである。精子ドナーに関しては、女性自身はどうあれ自分の遺伝子をもった子供が持てるが、将来のパートナーとは関係がない。未婚のレズビアンのをみてみても、この遺伝子の横のつながりに対する願望は明らかであった。レズビアンカップルの場合、どちらか一方しか直接的な遺伝子のつながりを子供と持てない一方で、この研究に協力したクリニックの一つが、レズビアンカップルに対して、”一方の卵子をもう一方にドナーして妊娠を図る”、という選択肢を提供しているという。この選択肢は卵子凍結保存においても可能で、以前登場したフィービーさんもこの方法を考えているという。

レズビアンカップルにとって卵子凍結保存というテクノロジーは ”複雑なパターンのなかで繋がり、に対する新旧どっちもの価値観を合わせて考えて、自分たちが親になるほうほうを考える”ためのものなのである。

 

 

 

さて。どんな感じに見えるんでしょ。

私は縦の繋がりというのはちょっとかなり強烈因子な気もする。

この前、クラスメイトに誘われて、なぜかロンドンで日本の映画 「ふがいない僕は空を見た」ふがいない僕は空を見た - 作品 - Yahoo!映画 という映画を見たんだが、そのなかのシーンで、不妊治療に悩む女性に対して義理の母が ”なんで子供も産めないのよ!なんで子供が欲しいという、たったそれだけのことを叶えてくれないのよ!”と怒鳴りつけてるシーンガあった。”昔は3年子ナシは用無し、といったのよ。”といい、義理母は泣き、嫁もすいませんと泣いている。もうなんか、勝手に感情移入してフルフルしてたわけ。

 

今回の論文に書かれているのは "本人の親が協力" 、と書いてあったから、もしかしたら悩める娘を助けよう、というもう少し前向きな感情かもしれないが、旦那の親からも、自分の両親からも子供産めってプレッシャーがあったら、ほんまやってられへんわ。

 

我が友人は、後継のために男を産め、産めないならお前の意味はない、的なことを昔言われていて、もう、ほんとストレスだけでハゲれそう。ハゲそう。

 

はて。

写真はOxford大学のHarris Manchester Collegeで、教授たちがお茶とかするお部屋。私を担当してくださった社会学の先生とお茶したのだけどね、彼女はもうおばあちゃんなんだけど、脳内はキレッキレで(コメントは厳しめなんだけども)弱気な私に、"Aim High" と言って背中を押してくれるの。そんな女性をみて、かっこいいなあと思う今日この頃。

 

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