卵子凍結保存、見てきた。
先日、一時帰国中に、ある不妊治療大手の病院を見学させていただきました。
自分の研究に興味を持ってもらって、ぜひうちで良ければ見ていいよ、と言っていただけるのは嬉しいこと。
そこの病院は生まれてくる新生児の半分くらいが、何らかの妊娠補助を受けたお母さんから生まれているという。すでに感動。笑
学んだことをランダムに。ベタ打ちに。。
▶︎凍結保存卵子からの受精と受精済み凍結保存卵子
凍結保存した卵子を解凍して受精させて妊娠につながる確率はまだまだ低いけど、受精させた状態で凍結した卵子を解凍した場合の妊娠可能性はかなり高いこと
これは独身のひとには適用できないけど、何個か前の記事に書いているように、結婚していても子供を産むタイミングが合わない、とかいう夫婦だってたくさんいるわけです。
もしくは、年齢が30後半や40歳超えている場合、不妊治療で何年もかかって、その間の卵子力の低下がさらに不妊を加速してしまう。そんな場合に不妊治療をしつつ、凍結保存しておく、なんてことも。
受精卵の凍結保存はあまり知られていないと思うのだけど、こんなことも出来ます。
▶︎卵子の解凍方法
シャーレに4種類の液体があって、保管場所から出した卵子を一定時間ずつ、その液体につけて解凍していく。
なんか思ったよりめっちゃシンプルなんだな、と思った。
食材は一度凍ったものを解凍すると風味が落ちるのと同じように、卵子凍結保存においても解凍のプロセスが卵子を痛めてしまう最大の原因であると言われている。
が、ここの改善に関しては、濃度をどうするか、どのくらいの時間、どの液に漬けるのか、といった方法になるということ。
まあ今保存しても解凍が10年後なら、なんか改善されてそうだな、なんて思ったり。
▶︎卵子と凍結卵子と年齢
20代後半の卵子を凍結したのと、36歳くらいの卵子だったらどっちが妊娠率が高いのか、質問したら、きちんとしたデータはないが感覚的に36歳の卵子の気がする、と言われ、はて、それでは若い時に保存したとしても40歳超えるとかして、その年齢の卵子より凍結してたとしても若いときの卵子の方が確率が高い、という交差点を超えない限り凍結卵子が活躍することはないのかな、と思ってみたり。
▶︎いきなり体外受精
最近は夫婦なのに自然交渉なしでいきなり体外受精を申し込んでくるという夫婦が増えているという。草食系男子の極みなのかとも思うけど、ちょっと知識が不足してるのでコメントは出来ないが、とりあえずめっちゃびっくりした。色んな夫婦の形があるんですね。
▶︎卵子凍結平均年齢
30代後半とのこと。イギリスやアメリカの平均と同じで認識相違がなかったことを確認。ただ最近は若い女性も増えていて、それはお母さんが連れてきた、という感じらしい。娘が結婚できないかもしれないから、念のため保存させておきたい、といったような。
▶︎保存法
今は凍結した卵子を、タンクのようなものにいれて保存している。こんな感じ。
このタンクを各病院ごとに保存しているから、保存するのであれば、10年後もきちんと経営が安定している病院であり、かつ自然災害に強い(地震や津波)とか、色々ちゃんとした病院である必要があるのだけど、個人的には、各病院が保存していることによるリスクと管理コストを考えれば、日銀の金庫のように、中央集権(東京・大阪二箇所とか)をしたほうがいいのかな、と思っていた。ただ現在は治療前同意のなかに、移動させない、という項目が入っているから難しいということ。なので、お話を伺うことができた、卵子保存をした女性は、大阪1ヶ所、東京で2ヶ所、という手段を取っていらっしゃった当然毎クリニックで採取費用や保存費用がかかるので、多くの人がこれをするのは現実的にはかなり厳しいという印象。
写真)ヴェネチア